セザンヌの本 - 1
セザンヌの本
ポール・セザンヌの世界観
(第1章「多次元のクリスマスプレゼント。リクエストにお応え」より)
マサ 訳
(以下、すべてロバーツの文章)
「クリスマスに何が欲しい?」と夫のロブにたずねると、彼はこう言いました。
「画家のポール・セザンヌの本」。
わたしたちは窓の前に置いた丸い木のテーブルに向かってすわっていました。わたしは窓の外の山々をじっと見つめます。(ロブの答えは)見当がついてしかるべきところでした。誕生日や記念日にしろ、祭日にしろ、ロブはいつだって美術の本や絵の道具がほしいと言うんです。ですから、うちではよくある状況でした。わたしはニヤリと笑って「OK」と言い、たばこをぼうっと吸いながら、クリスマスまであと 20 日くらいしかないから早めに美術専門店に行った方がいいだろうと考えていました。その時には、自分がその本を「産み出す」羽目になるなどと告げる予兆は何もなかったのです。
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