想像と観念 - 2
(すべて強調しつつ皮肉な言い方で)しかし、意味のない宇宙という概念(宇宙も生物もすべて偶然の連鎖で生じたという考え)はそれ自体、極めてクリエイティブな想像行為だ。例えば動物達にはそんな愚にも付かぬことは思いも寄らないだろう。というのも、その理論が示すのは信じ難い偉業だからだ。即(すなわ)ち、明らかに秩序だっている精神と知性が、自分自身は無秩序あるいは混沌(こんとん)から生じた結果なのだと想像するなどということが可能であることだ ―― つまり、自分の脳の「地図」を作れる生物がいることになる。その脳の素晴らしく統制された秩序は、それ自体、何の意味も持たない現実界から生じることができたというわけだ。そうなると、その理論は実際、秩序だった宇宙というものは魔法のように生じたのだと説くことになる ―― そして進化論者達は、どこかにあらせられる偶然の神、あるいは「偶然様」を必ずや信じているに違いない。さもなければ彼らの理論は全く意味を成さないからだ。