愛とその周辺 - 2
こうして、神は「男性」となった。そして、本当ならば自然や女性原理という側面に結び付けられるであろうはずの「愛」や「献身」は、人が性に対して感じる、あらゆる自然な魅力からは「もぎ取られて」しまったのだ。こういう風に君達の意識状態を反映した形で、宗教は愛を手懐(てなず)け、支配する目的にその力を使えるようになった。そして、愛と献身は国に対するものとなったわけだ。
男一人の愛と献身は政治的な利益であり、熱情は国庫に匹敵するほど重要なものだ。それは(熱情があってこそ)多くの狂信者達が大義のためには金銭抜きで働くのと同じように、国家は自らの軍人達が確実に身を挺して働いてくれることを前提にできたのだから。
(長い休止)少し待ってくれ…。(9 時 56 分に 1 分間の休止)