理想家と狂信者 2
確証もないのに、自分は宇宙からの生物なり地球上の敵なり、あるいは邪悪な霊的パワーなりに追われているような気がしてならない男または女がいるとしよう。この大統領は正にそんな憐(あわ)れな、勘違いした人間と同じように被害妄想を抱いていた。こういった気の毒な人々は数々の出来事から成る論理的な帰結を自分自身に対して組み立てあげようとする。それは、全く害のない出会いが「恐るべき脅威」に変貌(へんぼう)してしまうような形でだ(「一見、何でもない、この選択が、取り返しのつかない結果へと導くのだ」というような、恐怖心をあおる論法)。彼等はその怖れを外側に向かって投影することになる。そしてついには、自分が出会う全ての人々の中にその怖れが存在するように見えるまでに至るのだ。