蓋然的な人生 - 2
メカニクスの発明に才のある、その創造的なパーソナリティーは(その後)ぐんぐんと他の者達を引き離し始めた。そんなわけで、君の知っている父親は(「あちら側」から見ると)その蓋然的な自己だ。もっとも、その自己は、他の自己が避けていた感情面における数々の現実に関わり合った。実際のところ、それが彼にとって唯一の目的だったのだ。
(10 時 7 分に休止)これは、こうしたパーソナリティーが基本的に制限されていることを意味しているわけではない。また、彼が新しい興味やチャレンジを(独自に)一つ一つ見出していくことはないと言っているのでもない。彼自身は好きなように動けるからだ。彼は別の自己の特徴(才能や性格など)さえも数多く備えていたのだが、それらは、もちろん表に出てこなかった。しかし、子供をもうけることで、君の父親は情緒的な「生」を産み出すという、その目的を達成した。それはしっかりと中身があり、息子達の中に生き続けるものだ。