Seth Network Japan
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愚か者

わたしたちがまた生きるのなら

マサ 訳

 その愚か者は障壁をつくらない。
 彼の肉は空気のように澄んでいる。
 秋の月は彼の頭をとおってめぐり、
 南へと飛んでゆく鳥たちは
 彼の血をとおって進路をたどる。

 その愚か者は何もない空間のようにオープンで
 ハリケーンでさえも
 彼に肌を覆わせたり、
 (彼の)野性的なまぶたを
 半インチでも閉じさせたりはできない。

 潮流は彼の姿を浸食し、
 彼の脳はボールのように放り投げられる。
 彼は腰まで浸かって
 いくつもの月、いくつもの週を歩き、
 星たちは彼の魂を引っかいて穴を開ける。

 それでも彼にとって昨日は明日であり、
 ひとたび存在したすべてのものは
 彼の脈のなかに鳴り響く。
 まるで今から千年鳴りわたる
 休日の鐘たちのように。