前にお話ししたことですが、わたしたちは自分たちの中にある観念の複製として物質的な現実を形作っているということ(身の回りにある世界はわたしたちの観念がそっくりそのまま形になったものであるということ)を思い出してください。これは、セス資料の中でもメインとなるメッセージです。ジョーンはわずかな例外を除いて、人という人をことごとく嫌っていました。さらに、自分が嫌われている、好かれるわけがないと固く信じていました。自分が虐(しいた)げられていると感じ、人々はきっと、自分が背を向けたとたんに自分の悪口を言っているものだと思っていました。それはまさに彼女自身がそうしていたからです。毎日の生活の中で、彼女は自分に対するあらゆる種類の脅迫を感じ、神経は常に一定のストレスにさらされている状態でした。免疫力は低下する一方です。彼女は途絶えることのない戦いに疲れてしまいました。その「戦争」の多くは一方的で正当性のないものだということに決して気がつきませんでした。彼女は現実というものに対する自分の観念を外に向けて投影していたのです。そして、それが文字どおり彼女を破滅へと導いたのでした。
でも、彼女は警告を受けていたのです。亡くなる2年前、彼女は定例のセス・セッションに加わりたいと言ってきました。その時のセスは、かなり真剣で、いつものように陽気なところがなく、わたしは彼女に対するセスの態度が少し、きつすぎるのではないかと思ったほどです。今となってはセスが、彼女の姿勢や人々に対する反応の仕方を変える必要があることを彼女に何とかわからせようとしていたのだとわかります。彼は健康に関する考えをできるだけはっきりと率直に述べ、その実践的な応用の仕方を示しました。わたしには、ジョーンがセッションの前、すぐそこに脚を組んですわっていた様子が今でもありありと目に浮かびます。彼女がセスのアドバイスに従うことができていたら、きっと今日も生きていて、元気でいただろうとわたしは確信しています。また、健康に関するセスの話を理解して実践すれば、読者のみなさんも健康状態がきっと大きく改善されることでしょう。
セスはこう話しました。
「君達は自分が想像力を使って描く絵をよく観なくてはいけない。というのも、想像力が勝手なまねをすることを君達が放任しすぎるからだ。私達のファイルの最初の方を読めばわかることだが、いかなる時点でも、君達の環境や生活状態は君達自身の中にある期待から直接生じたものだ。君達は、そういった自分自身の心の中にある現実から物質化された世界を形作っている。
悲惨な状況、病気になった様子、どうしようもない孤独などを想像すれば、それは自動的に物質化されることになる。それはそうした考え自体が物理的な意味で自らを現実化する条件を引き寄せるからだ。健康になりたいのであれば、その健康な状態をできるだけ生き生きと想像しなくてはいけない。ちょうど、不安な時、健康とは逆の状態をありありと想像してしまうのと同じようにだ。
君達の抱えている問題は君達自身が作る。これは君達一人一人に言えることだ。内側の心理的な状態は外側に向けて投影され、物理的な性質を帯びるようになる。これは心理状態の内容とは無関係に起こる。…こうした原則は誰にでも当てはまる。これらがどういうことなのかを理解すれば、君達はそれを自分に役立つように使って自身の状況を変えることができるのだ。
自分自身の心構えから逃れることはできない。君達が見る物事の内容は君達の心構えに従って形作られるからだ。君達は全く文字どおり、自分が見たいものを見ている。そして、自分自身の考えと感情的な姿勢が物理的な形として物質化されたものを見ている。変化が起こるべきであれば、それはまず、心の変化、心理的な変化でなくてはならない。そうすれば、それは君達の環境に反映されるだろう。否定的であったり、不信や不安に満ちた態度、あるいは見下すような姿勢は、どんな人に向けられたものであっても、自分自身に対して作用することになる」