物質と多重宇宙
すでに話したように、物質は絶えず創造されている。次の日になっても全く同じ物質からできている物体というものはない。物質はエネルギーの振動によって生じ、その形は、エネルギー自体が本来備えている意識によってあらかじめ作られているパターンに従う。
私は創造が絶え間なく行われていると言ったが、物体は堅固に見える。物体には永続性があるように見えるが、実際はそうではない。これはフィリップ(セッションに同席したジョン・ブラッドリーの自己本体(エンティティー)の名前)のために簡単な復習として話していることだ。
ここには、物理的な場への各エネルギー振動の発生と、それが他のものによって置き換えられるまでの間に空いている間隔とでも呼べるものがある。再び、言い方を換えるなら、君達流のこじつけられた時間の図式に従ってさえも、物理的な存在の間隔一つ一つに対して物理的な非存在の間隔が一つずつある。
(ここでジェーンは強調するため、僕が書き物机として使っているテーブルを軽く叩いた)
物理的には、君達は実際に存在するほど長くは存在しない。あるいは、君達の時間で君達が存在する長さと同じ分だけ、君達は肉体を持って存在するわけではない。我々は物理的な非存在の間隔を「反物質」または「負の(ネガティブな)物質」と呼んだ。これはもちろん、君達の視点から見た呼び方だ。
ここで「ポジティブな休憩」を取ることを勧める。
(9 時 27 分に休憩。... 中略 ...9 時 36 分(原著では 10 時 36 分となっているが明らかに誤り)、ジェーンは前と同様に強く、幾分、太くて低い声で口述を再開した)
というわけで、これは各エネルギー振動の間にある間隔、すなわち、1つの振動が発生し、物理的な物体を形成し、殆ど瞬時に去る時点と、次の粒子が到着する時点までの間隔だ。君達が五感でこれを認識することはない。感覚器官の認識速度は、これを捉えるにはあまりにも遅すぎる。いつかは君達の計測機器がこの間隔を発見することになるかもしれない。
ともあれ、見かけ上、どんなに永続性や堅牢性があったとしても、君達が椅子だと思っているものは、単に君達の持つ概念によってのみ、椅子たり得ている。形態というものは、外部感覚器官の限界によって本質的にひどく制限されたものだ。私は、原因があって結果があるという、君達の理論はそれ自体が時代遅れで歪められたものだと言った。物質はそれ自体、朽ちることはない。それは、それが一つの物体として充分に長く存在するわけではないからだ。
この反物質はそれ故、推論上、君達流の解釈で言えば、正の(ポジティブな)物質でできた君達自身の宇宙が存在したのと同じ長さだけ存在することになる。君達には反物質の宇宙が君達のものと双子であるように見えるかもしれない。物理的な意味では実際にそうなのだが、あちらは分割した状態にある。これは、ここで私は一つにまとめたが、君達の宇宙には二つの宇宙がぴったりと繋がっているということだ。
その一方は、私が「前の像」(ビフォー・イメージ)とでも呼ぶものに例えられる。君達の宇宙は物理的な出現の焦点であり、そこは物質レベルでの操作が支配している。ここで話している他の2つの宇宙のうちの一方は、エネルギーが君達の宇宙のものに殆ど達している際に形成される。そのエネルギーは物質として現れるほどの強い段階には至っていないが、それでも初期段階のいくらか弱い形状を保っている。