Seth Network Japan
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2. 食わず嫌い

 セスの話を引き合いに出すまでもなく、わたしたちは観念のフィルターを通して物事を見ています。観念がわたしたちの意識や身体に影響を与える例として有名なのが「プラセボ効果」です。たとえば、新しい医薬品のテストをする場合、効果を比較するために、テストの対象となる薬とは外見上、区別のつかない「偽薬」がよく使用されます。この「偽薬」には薬としての有効成分は含まれていないのですが、それを与えられた患者でも症状が改善されることがあります。これは「薬を飲んだから良くなるだろう」、「新しい薬だそうだから、きっと効くだろう」といった心理的な作用が働いたためだと考えられ、一般に「プラセボ効果」と呼ばれます。

 また、実験を行う側(実験者)にとっても「本物」と「偽物」の薬があらかじめわかっていると、本人が意識するしないに関わらず、実験の行い方や判断に違いが生じる可能性があります。このため、実際の医薬品テストは、そうした心理的な影響を防ぐため、「二重盲検法」(ダブル・ブラインド・テスト)と呼ばれる方法で行われるのが一般的になっているようです。これは、実験者にも被験者にも、使用された薬が本物なのか偽物なのかわからないようにするもので、ごく簡単に言えば、投薬期間が終わって「蓋を開けた」時点で初めて「AさんとCさんとFさんに与えられた薬が本物でした」というような仕組みにする方法です。

 前章で少し触れたように、セスの本を「宗教」だと捉える人たちがいますが、それ以外に以下のような観念を抱いている人たちもいます。

  • 生きている人を通して「霊smiley」が話をするとか、ましてや、その話が本になって出版されるなどということがあるはずがないし、あったとしてもすべて作り話に決まっている。だから、そんな本を読もうという発想自体、馬鹿げているsmiley
  • 「霊smiley」が「憑依」して話をした本など気味が悪いし、そんな本を読んだら、読んだ人間まで取り憑かれたり、知らないうちに悪い影響を受けたりするかもしれない。だから、そんな本には関わりたくない。

野菜

 こうした観念を持っている「食わず嫌い」の人たちでも、そして、セスの本を愛読している人たちでも、二重盲検法を使って適切な実験を行えば、面白さ、胡散臭(うさんくさ)さ、有用性、信憑性(しんぴょうせい)などといった要素がセスの本に関しては、それぞれ統計学的にどの程度意味のあるものか検証できることでしょう。

 以上、堅い言葉が多くなりましたが、セスの本が広く受け入れられながらも読者層は自ずと一定範囲に定まるという現象について、その要因を簡単にとらえてみました。