Seth Network Japan
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エクササイズ - 言葉の枠組みを考える

「知られざる」現実界 第2巻
セッション 723、1974/12/02

マサ 訳

 少し待ってくれ…。言語は確かにある程度までは、知らないものを知らしめ、認識できるようにする。一つの文化に属する誰もが認識できる道標を立ててくれるわけだ。ただ、その際、言語は(一つ一つの言葉が持つ)特定の意味をがっちりとつかみ、他の意味を無視してしまう。例えば、「岩」という言葉を知っているだろう。それを知っていることで、実際、どんな岩も、ありのままの姿ではっきりと捉えられなくなっているかもしれないし、その岩が他の全ての岩とどう違うのか認識できなくなっているかもしれないのだ。

 (「岩」という概念でひとくくりにすることで)どんな岩でも、その上で日差しと陰が戯れる様子が君達の心に留まることはないだろう。ただ、「岩」という範疇(はんちゅう)に属するものとして、君達は、その横を通り過ぎるだけだ。しかし、夢の中では、自分が陽光に暖められた岩の上で眠っているのに気づくかもしれないし、凍(い)てついた岩をよじ登っているかもしれない。あるいは、岩の中に閉じこめられているように感じて気もそぞろな状態かもしれない。岩にまつわる体験は様々でいくつもあり得るし、その全てが君達をすっかり解き放つものかもしれない。こうした体験の後は、岩に対する見方ががらりと変わり、君達の目には、岩がとても言葉では言い表せないものとして映るかもしれないのだ。また、例えば、岩は君達の耳に聞こえない音を発するのだが、それがどんな岩であろうと、言語は岩に対する君達の知覚を自動的に制限してしまう。ある意味で、言語は君達と君達の直接的な表現との間に入って(邪魔をして)しまうわけだ。言語は、逆に、その体験を表現すべきであり、(実際に表現)できるものだ。

 休憩にしなさい。
(バッツの注釈を省略)(10 時 43 分に再開。)

 練習要素 17

 そうすると、知られていない現実界の一部が、使い慣れた言葉に備わった、お仕着せのパターンや言語の下に隠されてしまう。そこで、エクササイズとして、身の回りを見渡してみよう。自分の周囲に見えるものに、それまでとは違う、新しい「言葉」を作ってみるんだ。例えば、何か、物を拾い上げてみる。それをしばらく手にして、表面の手触りを感じ、色を眺め、心に思い浮かんだ音を発音してみる。そうやって、ごく自然な流れで新しい名前を付けてみるわけだ。それまで気がつかなかった、その物に備わった特定の側面を、その音が如何に引き出したか、よく見てごらん。

 新しい言葉は、それまでの言葉と同じように、ぴったり合った感じがするだろう。実際のところ、それまで以上にしっくり来るかもしれない。同じやり方で多くの物に名前を付けてごらん。また、それとは別に、どんな物でも名前をひっくり返して呼んでみるのもいい(例:「ケイタイ」→「イタイケ」)。こうしたやり方で、決まり切った言い回しが(現実の捉え方を)自動的にパターン化してしまうのを、ある程度、崩すのだ。すると、一つ一つの物の中にある「個性」を知覚できる。

 自分自身のありのままの気持ちに直接触れるよう、時々、これもまた、自然に思いついた音(言語音、擬音)を作って(声に出して)ごらん。言語では君達の感情がはっきりと表現され得ないことがよくあるので、こうしたパターン化を行うと、感情が自由に流れていくようにできるだろう。