初期セッション集 第1巻
セッション 19
ミスターM 訳
きみたちの科学者は元素の数を数え続けている。実は間違った道を歩んでいるのだが、それでもさらに多くの元素を見つけることになるだろう。つまり科学者たちは頭がおかしくなるまで、自分たちが創り出した元素を次々と発見していくのである。というのも、科学者はつねに本当にあるもののカムフラージュを創り出すことになるからだ。科学者がさまざまな装置を作ってより微小な粒子を見つけようとすれば、実際にそうした粒子が見たところ際限なく見つかるようになるだろう。
科学的な装置を使って宇宙の彼方を探求すれば、ますます遠くの宇宙を「見る」ようになるだろう。しかし科学者たちは自分たちの見たものを、自動的に、無意識的に、見慣れたカムフラージュの枠組みに置き換えてしまうのだ。
科学者は自分たちの作った道具の虜になっているのである。見たところ、さらに多くの銀河が、さらに多くの不思議な電波星が見つかるだろう。そしてやがて科学者たちはどこかとてつもなくおかしいことに気づくようになる。科学者にとってはよく知られた波動を測る装置が作られ、改良が加えられていく。結局はそれらの装置を使って、見たところ全くあり得ないような現象が発見されるようになる。それらの装置はカムフラージュのある面を捉えるために設計され、非常に精巧につくられるので、その機能を十分に発揮するのだ。
しかしながら、装置はそれ自体、ある種の手段でデータをきみたちには理解できない条件から理解できる形へと変換してしまうのである。これは科学者たちがいつも行なっていることだ。だがここで問題なのは、一種のデータの希釈、つまり、原形をとどめないほどデータを歪めてしまう単純化が起こり、終わってみればもともとのデータがどんなものだったのか見分けがつかなくなってしまうことだ。変換の過程で意味が破壊されてしまうのである。
装置自体も、たとえば時間や光年を音のパターンや電波などに置き換えるという変換を行う。この過程であまりにも多くのものが失われてしまう。その結果手にするものはあまりに歪められてしまっているので、原形とはまったくかけ離れたものが知覚されるのである。一つの現象を別の現象の枠組みの中で捉えようとするといつでも、たとえかすかにでも理解できたかもしれないものがすべて見失われてしまうのだ。
これはもはや新しい装置を作ることで解決される問題ではない。…
地球の大気の影響により、装置にひずみが起こることを科学者たちは知っている。しかし彼らが理解していないのは、装置自体が必ずデータを歪めてしまうということだ。このことはいくら強調してもしすぎることはない。どんな物理的装置も、その歪曲効果から逃れることはできないのである。