セスは語る
セッション 566
マサ 訳
過去は無数の形で存在した。君達は(そのうち)一つの蓋然的な過去を経験したにすぎない。その(経験した)過去を頭の中で今、変えることによって、その(過去の)性質だけでなく、その影響(波及効果)までも変えることができる。それも、君達自身に対する影響だけでなく、他の人々への影響もだ。
特定の出来事でひどい目にあったとしよう。頭の中で、その記憶をただ拭い去るのではなく、もっと役に立つ性質を持った別の出来事に置き換えてしまうイメージを想像してごらん。くっきりと鮮やかに、気持ちを込めて何度も思い描くんだ。これは自分を騙(だま)しているわけではない。君の選んだ出来事は自動的に一つの蓋然的な出来事になる。その蓋然的な過去において知覚することを選んだ出来事ではないものの、実際に起こった出来事になるわけだ。
(10 時 24 分)この方法を適切に行うと、君の観念が、テレパシーを通じて、元の(置き換えられる)出来事に関係した人々にも影響することになる。もっとも、君の(思い描いた新しい)バージョンを受け入れるかどうかは彼等自身が選ぶことだ。
これはテクニックの本ではないので、この方法について踏み込んだ解説はせず、ここでは単に触れるだけにしようと思う。ただ、忘れてはならないのは、極めて真っ当な意味で、物理的に知覚あるいは体験されなかった多くの出来事は、知覚、体験された出来事と同じように有効であること、そして、君達自身の中にある、目に見えない心理的な環境においては、同じように「本物」であるということだ。
そうすると、君達に合わせた表現で言えば、限りない数に上る蓋然的な未来の出来事があり、君達は今、その土台を築いていることになる。君達が「発信」したり、習慣的かつ特徴的に「受信」したりしている想念や感情にはパターンを形成する性質がある。それによって、君達は、それら、いくつもの蓋然的な未来の中から物理的に体験する出来事を選び出すことになるわけだ(休止)。
(蓋然的自己の間には)情報の滲透(しんとう)や相互の繋がりがあるので、君達は「未来の出来事」に波長を合わせることができる。例えば、現在のまま進んでいくと、やがて、不幸な出来事に遭遇するとしよう。例えば、その出来事の夢を見た君達が、あまりにも怖くなって、その出来事を回避し、体験せずに済むことがあるかもしれない。そんな場合、そうした夢は、その出来事を実際に体験した蓋然的な自己からのメッセージだ。
(10 時 30 分)そんなわけで、子供が夢の中で蓋然的な未来の自分からそうした連絡を受けることで人生がすっかり変わってしまうこともあり得る。(すべての蓋然的な自己を含む)自己の総体(the entire identity)は今、存在しており、区切りというものは全て単なる幻想にすぎない。だから、ある蓋然的自己は別の蓋然的自己に向かって助けの手を差しのべられるし、そうした内的なコミュニケーションを通して、君達の表現で言えば、様々な蓋然的自己が自分達の素性の本質を理解し始めるのだ。