初期セッション集 第2巻
セッション 83 1964/08/31
マサ 訳
君達には、非定例のセッションで私が提案したことに従おうという決意がない(セッション 82 で、セスは自分の本が西側諸国、ひいては世界中に広がっていくであろうことを告げ、当時、画廊で働いていたロバーツに対しては、午前中に自分自身の仕事をし、午後は画廊に行くのではなくセスの本の作業に充てることなどを提案した)。また、ルバートは画廊での肩書きが変わった。そうしたことに対していちいちコメントする気はないが、後者に対しては祝いの言葉があって然るべきだろう。だから、お祝いを言おう。
(セスが言っているのは、ジェーンが画廊でアシスタント・ディレクターになったことだ。彼女はとても喜んでいた。職務が少し変わり、その中には子供向けの講座で美術史を教えることも含まれていた。ジェーンは人にものを教えるのが好きだ。何セッションも前にセスが言っていたのだが、これは前世から持ち越した能力で、この人生ではこれまで使われていなかったのだそうだ)
私はルバートがユングの本を読んでいるのが少し気になっていた。ユングはフロイトよりも多くのものを読者に与えてくれるように見えるし、(実際に)いくつかの面で多くのことを企てた。また、彼が歪(ゆが)めて伝えた内容はかなり重要だ。しかし、より深く掘り下げて考察しているように見え、いくつもの意義深い結果を提示している中で、それにも拘わらず、ユングは狡猾(こうかつ)な結論を導き出す。(考察の)範囲が広いだけになおさら差し障りが生じる。私はただそれが気にかかっていたのだ。
これについてはまた後日、適切な機会にもっと詳しく論じるつもりだ。
私の提案に従うよう、君達を突っついてプレッシャーをかけようなどとは全く思わない。また、君達が信じようと信じまいと、君達の生きている世界における「実際的な側面」(日常生活におけるさまざまな事情)とやらも私にはよくわかっている。それでも、若干の失望を表すことはできるわけだから(ここで)表しておこう。
また、君達二人共これまでケイシーの本を読んでいたので少しコメントしておく。我々の資料はそれ自体、単独で成立するものだが、ケイシー氏のコメントの多くは極めて妥当であり、君達にとっても必ずや役に立つだろう。君達も知ってのとおり、彼は、規律のないやり方で潜在意識に手を出した場合の危険をいくつか挙げ、その概略を説明した。私は私で、危険は確かに存在し得るし、実際に存在もすることを示唆した。だからこそ、我々はこれまでゆっくりと着実に、そして規律あるやり方で前進してきたわけだ。
我々はこうやって、すべての面がいいバランスになるようにしている。ルバートのパーソナリティーは自らを見事に制御して柔軟に保ってきた。この柔軟性が極めて重要だ。君達二人の人格パターンにおいて我々に(セスとの共同作業に)必要な力と平衡感覚を与えてくれるのは正にこの柔軟性なのだ。ここで言っているのは、君達のパーソナリティーの根本である潜在意識の柔軟性だ。
言わば、頑として動こうとしない、潜在意識の精神病的な悪習慣にがっちりと抱え込まれている、頭の固い人格パターンには、健康な道筋(チャンネル)を通った解放への出口を見つける能力がない。だから、動きのある、創造の世界へと立ち上がっていくことができないのだ。