Seth Network Japan
Seth Network Japan

蓋然的な人生

「知られざる」現実界 第1巻
セッション 680

マサ 訳

 (9 時 44 分)少し待ってくれ…。(バッツに向かって)君の両親は、正確に言うなら、同じ現実界を二人で共有していたわけでは全くない。これは珍しいことに思えるかもしれないが(実際は)そうでもないのだ。二人は、それぞれの現実界の間にある場所で出会い、関係を築いた。(とは言っても)二人が数々の出来事に対する相手の解釈に同意できなかったなどということではなく、(それぞれの体験する)出来事自体が違っていたのだ。

 エネルギーの点から見れば、意思には安定させる働きがある。繰り返しになるが、自己には「核」としての役割を果たす中心部分がある。その核(自体)が変化することはあっても、物質的な「生」は常に、その中心から放散するのだ。物理的には、意図や目的が、そのエネルギー的な性質に関わらず、その中心を形成する。

 この現実界における君の家庭では、両親が互いに対して不明瞭な態度をとっていた。強いエネルギーのやり取りがあったので、それぞれのパーソナリティー(自身)が直接、向かい合わなかったのだ。少し待ってくれ…。この話には説明しにくいところがある。ある意味で、彼等は焦点が定まっていなかった。二人とも、見事な能力をいくつも備えていたのだが、それがばらばらになっていた(能力をまとめて一つの方向に絞ることができていなかった)。これには理由があった。

 二人は、強烈ではあるがはっきりと見えてこない才能を内に抱えており、その才能は子供達のエネルギー源として使われた。正にその家庭を作るために彼等は一緒になったわけで、彼等の共同の現実界に関する限り、他に(一緒になるための)主な理由はなかった。そして、二人は一世代分の種を蒔(ま)いた(自分達の次の世代を作った)ということだ。

 君の母親は、あれこれと不平は言っても、物質的な現実界を愛しており、その現実界の本当に些細な側面をも最大限に楽しんだ。父親の方も、その現実界を愛してはいたのだが、決して信頼しようとはしなかった。君の両親には、いずれも、今回(の人生)は、君達から見れば蓋然的な現実体系の一つに最も力強い現実界があった(並行して進んでいる、他の蓋然的な人生の中の一つが最もパワフルだった)。そして、こちら(この現実界)は(「本流」に対する)「支流」だったのだ。(だから)彼等にとって、この(現実)体系は常によそよそしい感じがしていた。

 他の現実体系では、君の父親は有名な発明家だった ── 実際のところ、(過去形ではなく)今でもだ。結婚などしようとせず、機械に関わるクリエイティブな能力を最大限に発揮し、その一方で感情的なしがらみを避けていた。彼はステラ(僕の母)に出会い、二人は結婚することになっていた。歴史上の年代としては(バッツの両親と)同じ時期のことだ。(しかし)その時 ── 君から考えれば父の「過去」における一時のことだが ── 君の父親はステラに出会いはしても、結局のところ、彼女と結婚しなかったのだ。彼の愛情はメカニクスやオートバイのスピード、そして(自分の)創造性をメタルと融合させることに向けられていた。その(内的な)「交差地点」では、彼の中にある(二つの)同等な願望や意思が「双子の核」のようになった(上記、「核」の記述を参照)(それによって)エネルギーの再編成や心理的、精神的な内部分裂が起こり、同じように正当な二人のパーソナリティーの意識が存在することになった。ただ、その世界で一度に生きられるのは(そのうちの)一人だけだったわけだ。(次のページへ続く)